先日、地震があった。早朝6時頃。その時夜型の私は完全に夢の中だったのだが、それでも振動を感じて目が覚めた。
しかし、朝に滅法弱い人間の脳は、この程度の揺れを危険と認識するよりも心地よいゆりかごの動きと認識するようだ。
意識では地震と分かっているのだが、私は眠気に負けてこのまま崩れるかもしれない天井の下敷きになる選択肢を採った。
だが、次の瞬間。家中に響き渡った声に私は飛び起きた。
「出口確保ぉ〜〜〜」世話係だ。世話係の声だ。
まるでレスキュー隊員のような緊張感にあふれた声に体中に一気にアドレナリンが駆けめぐった私は、出口よりテーブルの下に隠れるのが先じゃないかという疑問を抱きながら軽い揺れが続く中、玄関まで走り抜けドアを勢いよく開けた。
高知はご存じのように南海地震というマグニチュード8クラスの大規模な地震の最大の被害地として有名だが、この地震は、高知沖から駿河湾に繋がる南海トラフという浅い海溝(=トラフ)における沈み込むプレートの反発運動によってほぼ100年前後の周期で発生する。前回の発生が1946年だったので、私が生きているうちに発生する確率はかなり高い。
この地震が南海地震なのか( ゚Д゚)!!私は次の瞬間やって来る巨大な地震波に備えて低い姿勢で身構えた。
しかし、待てど暮らせどセカンダリーウェーブがやってくる気配はなかった。
どれくらいの間そうしていたのだろう。
気づくと、玄関には私1人が立ちつくしていた。
犬達はどこだ?世話係はどこだ?
一瞬考えて思い当たった。
「そうか、裏口だ。」
さすが世話係。そして、さすが犬達だ。飼い慣らされているとはいえやはり野生の本能は健在だ。彼らは、私のようにリビングを横切ることなく、最も近い反対側の出口から逃げ出したのだ。
私は、これ以上地震がこないのを確認して室内に戻った。
そして、
そこには世話係に数頭の犬達が、
いつも通り寝ていた。
誰も起きあがった形跡はなかった。私が立てた音で半目を開けているのもいたが、体は全く動かさない。
「あの、地震でしたけど・・・」
答えはない。
「セレス、本能あるよね・・・?」
答えはない。狸寝入りだ。
「出口確保したんですけど・・・」
「ごくろう」
世話係が、ぼそっと言った。
------ここからフィクション------こ、こいつらは一体・・・・。
私が憮然として立ちつくしていると、誰かが肩をたたいた。

※背景が外なのは気にするな
さすが、一番の優等生である。
私は少しだけ安心し、再び眠りについた。
by 家来1